私にはいまのところ「興味ないから、やらない」「つまんないから、やめとく」という選択はあっても「やりたいのに、できない」は存在しない。
だって、本気でやりたいことなら本気でやるじゃん?本気出せば大概のことはすぐできるようになるじゃん?そしてこのご時勢、図書館とネットにたいていの知識は転がってるじゃん。そんな恵まれた現代日本で五体満足に生まれたなら「やりたいのに、できない」ってそれただの言い訳じゃん。
て、思う。
でも多分普通の人には、どんなに憧れてもやりたくてもどうしてもできない、てことがいっぱいあるんだと思う。「やりたいから、できるようになる」というのは足が無いのに歩きたいとか、翼が無いのに空を飛びたいとか、それくらい荒唐無稽なことなのかもしれない。
ま、もし私が本気で歩きたいとか空を飛びたいと思ったら、高性能の義足やタケコプターを開発するだろうけど。
そんなこんなで社員(文系)に「1ヶ月あげるからレスポンシブなHPつくって、あとリスティングもよろしく」って言ったらすっごい達観した笑顔で「だれもがみんな社長みたいになんでもできるわけじゃないんですよ」って諭された。それから「役に立てなくて、ごめんなさい」って謝られた。
いや、でもcssとjavaでさくっとHP作るくらい普通にできるよねぇ・・・?なにも本業で本気出せって言ってるわけじゃなくてさ、普通にwebデザイナーに頼めばできる程度のことがなぜできないんだろう。君、英語も日本語も不自由ないんだからgoogle先生に聞けばいいよねぇ。おばちゃんちょっとよくわかんない。
でも多分、シェイクスピアを美しい発音で暗唱できる彼は、その語学力を持ってしてもcssは理解できないのだろう。
多分、勉強するのが面倒だから言い訳しているわけではない(この仕事を断ったらもっと面倒なことを押し付けられるのは確定している)。そして多分、私のことが嫌いだから嫌がらせをしているわけでもない(だったらこんなブラック企業とっくに辞めているだろう)。
ただ、ほんとうに「やりたいけど、できない」のだ。おそらく。
「やりたいけど、できない」というのはどれほどの絶望だろう。
社長に頼まれたHP構築程度ならべつにやれなくても構わないけど、彼はおそらく己の魂が共鳴するような欲求すら「やりたいけど、できない」で阻まれるのだろう。
私は無自覚に、一線を越えることができない彼らに絶望をつきつけてしまうらしい。
最近だいぶマイルドに伝えられるようになったと思ったんだけどなぁ。まさかHP作成でつまづくとはちょっと意外すぎてな…。すまんかった社員(文系)君。