東京にあるダイアログインザダークに行ってみた体験記です。
・ネタバレ上等
・これから行く人は読まないほうがいい
・暗闇に対するフレッシュな驚きは無い。
まず、誰も共感してくれないけどすげぇ主張したいポイント。
閉塞感ハンパない
これまでの人生で最大級の閉塞感!もぉこれに尽きる。
場所はビルのワンフロア全部使っているので床面積的には一軒家くらいでしょうか。内装はかなり細かく仕切って隙間はテープできっちり目張りしてあって、かなり狭かったです。
よく考えたら暗闇を作るということはちょっとでも光の入りそうな隙間を全部埋めるってことで、そうなると空気の流れってほんと止まるのね。暗所恐怖症の人はもちろんだけど、閉所恐怖症の人もあれはやめておいたほうがいいかもって思った。スタッフさんはよくあんな場所で長時間働けるなって尊敬した。
ただ、普通に歩いていて手の届く範囲には障害物は無いので、空間把握を視覚に頼っている普通の人はあの空間は広いと感じるのではないかと思います。仕切り板部分は笹などで上手く隠してあるので、仕切られていること自体気づかない人のが多いかも。
あと、彼らのコンセプトはおそらく「カワイソウな障害者」という見方をひっくりかえすことなんだろうと思うんだけど、それにしては演出がちょっとどうなんだろうと思う点がいくつか。
建物の中は、待合室になっている明るい場所とダイアログの舞台である真っ暗な場所の二箇所に別れています。で、真っ暗な場所は視覚障害者の人が案内してくれて、なれない暗闇の中でカッコ悪く右往左往する我々をさらっとリードしてくれます。そこで我々が彼らに対して思うのは「この暗闇で迷わず歩けてすごい」とか「トークが上手い」とか「頼りになる」とかそんな、ガイドとして優秀かどうかです。そこでは目が見えるかどうかなんてどうでもよくて、ただガイドとしてあるいはエンターテイナーとしての技量だけが問題とされます。
それは多くの人はおそらく初めて、障害者(と社会が定義する人)に対して「カワイソウな障害者」という枠組みを外して評価をする経験になるのでしょう。
それはすごくいいことだと思うんだけど、詰めが甘いんだよーー。
なんかね、一通り暗闇体験が終わって受付の明るい場所に戻ってから、さっきまでガイドをしてくれてた視覚障害の人があいさつに来てくれるんだけど、暗闇ではあんなにすいすい歩いていた人が明るい場所に出た途端にすごくおっかなびっくり歩いてて、「なにもできないカワイソウな障害者」になってしまうの。
明るい場所にいるスタッフは全員目が見えてる人で、レジを打ったり受付したり案内したりするのも目が見えてる人。結局我々と彼らが対等でいられるのは暗闇の中だけなんだ、って思ってしまう。なんか、がっかり。
何が障害かは社会が規定する。障害のあるなしなんて所属社会に適応しているかどうかにすぎない。障害者がカワイソウなのは自由に行動できるインフラが整っていないからであって障害自体がカワイソウなのではない。
だから例えば椅子や机の場所を固定しとくとか、商品のタグを点字にしとくとか、受付だって電子化しておくとか、環境を整備すれば明るい場所でもカワイソウな障害者を作ることができるというメッセージを発するわけにはいかないんだろうか。