雑記帳

リベラルでもフェミでもないただの愚痴

解離性同一性障害(多重人格)とは何かとか、そういう話

なんとも香ばしい増田文学をみつけたのでちょっと書いてみる。

前提条件として、この文章を書いている私は解離性同一性障害、いわゆる多重人格の当事者です。たぶん。よく知らんけど。

最近はそもそも多重人格自体が医原病であり詐病であるという説もありますが、私としては解離性同一性障害というのはパーソナリティの在り方のひとつ、あるいは知性のあり方のひとつとして捉えています。ただし、そもそも私自体がかなり特異な性格と知能を持つため、私の事例を一般化することは難しいと思います。実際私以外の解離性同一性障害の人と話をしても共感できる部分は少ないです。

というわけで、あくまで私という精神科医に二度見されることでお馴染みの、かなり変わった一症例の個人的な感覚を書きたいと思います。

 

 

元記事はこちら。

多重人格の彼女と付き合っていろいろ大変だった増田さんのお話。

anond.hatelabo.jp

 

増田にお返事している人が、増田の彼女は詐病だったのではないかという説を猛プッシュしてるみたいだけど、よく考えると彼女が解離性同一性障害だったかどうかっていうのは枝葉の話じゃね?

そして当事者としては、ISHさんが統合を提案するのも別に不自然じゃないなぁと思う。増田の文章から察するに、たぶんこのISHさんはそんなに高度な思考をしてないだろうし彼女さん自身の境界性人格障害っぷりを鑑みるに各人格同士できちんと尊重できるような関係を築けてはいないのではないかなと思った。ISHさんが、おせっかいな近所のオバチャン程度の認識しかないとしたら気楽に統合を提案することだってあるかもしれない。(そしておそらくその場合の統合は表面上に留まる一時的なものになりそうだけど、それはまた別の話。)

 

 

ていうかそもそも精神科の病名なんてエビデンス皆無の中世並みなんだからこだわるだけ時間の無駄。なんか、みんな『欝』だの『統合失調症』だの『多重人格』だの『人格障害』だのというあいまいでいいかげんな病名モドキと『コレラ』とか『リウマチ』だとかの厳密な定義のある病名を混同してる感が半端ない。

コレラにはコレラ菌があるけど、多重人格ウイルスなんてのは存在しないし、血中多重人格濃度なんてものもなくて、CTやMRIをとってもわかんないのが精神病と言われている状態。精神科の病名なんてぶっちゃけ『狐憑き』だとか『疳の虫』だとかと同じレベル。どうして薬が効くかもわかってないのが医学の現状です。

 

ということで、ここで問題になるのは彼女が嘘をついていたかどうかではなくて、ただ増田が疲弊して、彼女も疲弊したという関係性がそこにあったという点のみが問題です。

たぶんこれどっちもつらかったのだと思うのです。

善悪で考えれば一方的に浮気して暴力振るう彼女のほうが悪いだろうけど、懲罰思考をいったんおいて見たときに、二人の関係がどちらも疲弊するものになってしまったという悲しみがこの問題の本質ではないかと。

 

そして増田さんはきっととても愛情深い人なのでしょう。

他人は気軽に共依存だとかメンヘラだとかいいますけども、ただ相手の幸せを祈ることができる稀有な人というのは存在していて、その気持ちは誰にも否定できないものです。ストックホルムだろうとつり橋効果だろうと、そこに心動かされる何かがあったということは誰にも否定できないし、なんだったら尊いことだと言ってもいいくらい人として大切な真理だと私は思います。だけど精神分析が医療の傘下に入るにあたり病理というフレームを踏襲し、人の心理の尊さというのを尊重する姿勢というのが昨今のカウンセリングには欠けているような気がしてなりません。

 

まぁなんというか、増田さんはご愁傷様でした。この経験を人生の中にどのように位置づけるかは増田さん自身がゆっくりと決めてください。

一人の人を全力で愛したと思うもよし、ひどい女にだまされたと思うもよし、理不尽な暴力を振るわれたと思うもよし。どれか一つに決める必要もないし、途中で変えたっていい。ただ、今はちょっと疲れているでしょうから、まずはゆっくり休むことに専念したらいいのではないかなと老婆心ながら思います。

 

 

ということでだらだらと文章を書いてて、やっぱ私は増田を読んで解離云々よりもDVであったりPTSDであったりの部分が気になったんだなということがわかった。

解離とか関係なく、二者の関係性というのはなかなか難しくてそこが人生の醍醐味でもあるんだろうけどあんまり大火傷しないくらい留めておいたほうが楽しく生きれそう。

 

それと改めて、解離性同一性障害だとか精神疾患だとかはまったく理解されていないんだなと思ったので気が向いたらそのあたりも書いていきたいと思いました。