雑記帳

リベラルでもフェミでもないただの愚痴

医師の語る『正しさ』を妄信しないほうがいいよ

こういうこと書くと拒否反応起こす人は多いんだろうけど、現代の日本で障碍児を育てるということは親の破滅を意味する。だれも助けてくれないのに何を選択しても一生責められる。

障害があっても周りのサポートがあれば楽しく生きられる?

じゃああんたがサポートしてくれんの?24時間つきっきりで介護して月何十万何百万負担してくれんの?その覚悟も無いくせに親を責めるのおかしくない?ブラック企業に残業代をとか言ってるくせに親の労働力はタダだとでも思ってるわけ?

 

 

この話もまるで「手術さえすれば完璧に治る軽い障害なのに親に見捨てられたかわいそうな子供」みたいなニュアンスで書いてあって、ほんとうに医療サイドの無神経さはものすごいなと思う。口唇裂が完璧に治るとか説明が雑すぎんだろ。

headlines.yahoo.co.jp

「簡単な手術で健康になれるはずの子供を見捨てた親は犯罪者」みたいな空気になってるけど、たぶんこれそんな簡単な話じゃないと思うよ。

この記事に書かれていない情報として、

  • 確かに軽度の口唇裂はわりと完璧に治る
  • ただし数回にわたる手術と結構高額な負担が必要
  • 口唇裂に食道閉鎖を併発している場合手術で直るかどうか微妙
  • 口唇裂+食道閉鎖であれば成長しても身体or知的障害が残る可能性も高い
  • 親にも障害がある、すでに障害のある子がいるなどの場合、この子をまともに育てることは出来ない可能性が高い。
  • 施設に預けろと簡単に言うがどの施設も定員いっぱい
  • 結局母親が仕事をやめて一生子供の奴隷にならざるをえないことが多い

というのがある。

軽度の口唇裂だけであればともかく食道閉鎖も併発であれば他の異常も考えられる。手術してはい終わりという簡単な問題ではないはずなのに、この記事ではそのあたりに全く言及していない。

 

口唇裂は手術で完璧に治る、と簡単に言うけど、この話も医療者サイドだけでなく両親の話を聞かないのはフェアではない。障害のある子をどのように社会が扱うかを取り上げるこの連載の著者であるドクターは一見「よいこと」をしている「正義の味方」のようにみえる。ご本人もそのつもりだろう。患者は病院を退院し医者の目が届かなくなっても行き続けなければいけないということをきちんと理解している医者はとても少ない。

 

結合双生児の裁判もそうだけど、適切な医療さえ受ければ病気も障害も『全快』するというブラックジャックの世界のお住まいの方が多すぎる。ちがうんだよ現実は。何度手術しても処置してもどんなに医療が進歩しても『治る』ことはなくて、本人も周りも一生苦痛を引きずるんだよ。漫画の外に無免許名医は存在しないんだ。現実の医者が提供できるのは健康に似た不健康、つまりカレー味のウンコでしかない。

 

hedgehogx.hatenablog.com

 

 

 

また、今回は「手術で簡単に治る異常」が前提の話だった。(その前提自体医療サイドが捏造したものである可能性が高いが、とりあえずそういう前提だった)

だがこの問題はどこまでが救うべき命で、どこまでが救わなくて良い命なのだろうかという哲学にいきつく。

100歳を超えて寝たきりで管まみれの老人も生かすべきなのだろうか?

流産した受精卵も生きる権利があるのだろうか?

排卵し受精しなかった卵子にも生きる権利がある?

射精し受精しなかった精子にも?

そんなことを言い出したら健常者より障碍者のほうがはるかに多くなってしまうわけだけど、健常者は障碍者を介護するためだけに存在するということでFA?

 

医療が発展し神の領域に踏み込んでしまった現代では、誰を殺し誰を生かすかという神の選択をヒトが行わなくてはいけなくなっていて、でもそんな重い選択なんてだれもやりたくなくて、親と当事者に十字架を負わせている。