雑記帳

リベラルでもフェミでもないただの愚痴

女性がゲイに向ける気持ち悪い感情について考えてみた

腐女子はうっすら男全般が嫌いだけどゲイにだけ妙に好意を持ってくるのなんなん。というような増田を見て「そりゃ自分をサンドバックにする男性ジェンダーなんぞ大嫌いだし、逆にサンドバックにしないのであればとりたてて嫌いにもならんだろ」というブクマを書いたのですが、あらためて元増田を読むと、増田の感じているのは「別に嫌いじゃない」といううっすらとした好意ではなくてなにかもっと痴漢やセクハラに近いような薄気味悪さを感じているのではないかと思った。お察しの通りPC作業が終わらないので息抜きです。

「男は男で生まれただけでマジョリティで優位者」という考え方に呑まれながらでもふいに「ゲイは別だよ」と肩をたたかれたときのゾッとする感覚。

 腐女子がゲイだけを許すのはなぜなのか

 

それでこれ、男性ジェンダーに対する嫌悪がとてつもなく根深くて、その根深さすら否定されている現状からくるストックホルム的な何かなのではないかと思う。

 

まず、男性ジェンダーがどれほど嫌悪されているか、それはなぜかについてです。

性暴力というのは罪悪感が薄いことが特徴です。殴る蹴るの単純な暴力であればどうがんばって言い訳しても暴力が悪という根本はごまかせず「あいつが悪いからやりかえしているだけだ」とかいう上辺のごまかしになりますし、殴られて喜ぶ被害者はいない。どんなに取り繕っても暴力を振るったという事実は消えません。

 

ですが性暴力の場合、加害者の頭の中では暴力そのものが肯定されてしまいます。「俺はこんなにキモチイイんだから相手も喜んでいる」というような。

それはどういうことかというと、笑顔の善人が心底善行を積んでいるつもりで加害を行うということです。冷静に考えればたかだかセックスなんかたいしたことではないし、挿入射精より殴られる方が身体的な傷は大きい。なのに殴られるよりはるかに大きな傷を負う理由の一つはこれです。

悪人の顔をした人に殴られたのであれば悪人を避ければいいし、怒っている人に殴られたなら怒ってる人から距離を置けばいいけど、善人の顔をした普通の人がなんの脈絡も無く性的暴行をしてきたらこの世の善人全てを警戒するしかありません。この世は信頼で成り立っていて、他者を信頼できなければ青信号で道を渡ることすらできない。

 

そのうえ、性被害にあったと言うと被害者にも落ち度があったとかモテ自慢だとか美人局だとかいうセカンドレイプが横行し、さらに法律は加害の意志の有無を問題にします。つまり、加害者に加害の意志が存在せず被害者も楽しんでいると心底信じ込んでいれば無罪になってしまう。性加害に関しては世間はもちろん法律すら守ってくれませんしむしろ加害者を擁護します。被害にあってしまったら全面的に負けなのです。全世界vsたった一人の被害者 と言ってもいいくらい。

それなのに加害者は善人の顔をしていて、見分けがつかない。唯一の理由は加害者が男性で被害者が女性だったという点のみ。

だから「女性は男性をうっすら嫌い」なのです。これは別にウザいからとかキモいからとかかわいくないからとかいう軽い理由ではなくて、被害にあってしまったら全世界が敵になってしまうからという深刻な理由です。

 

この現状をどうにかするためには法整備であったりセカンドレイプ防止であったりという構造の変革が必要なのですがそれはまた別に考えるとして、とにかく割と多くの女性は男性のことを非常に深刻に嫌わざるをえない現状があります。

そんなゴキブリよりもはるかに嫌悪を感じる存在が突然「私はあなたを性的に消費することはありません」宣言をすると、なんというかこれは雨の日に子犬を拾うヤンキーのような好感度の上がり方をするのではないでしょうか。期待値がどん底だからこそ上がり幅も大きくなります。

 

そしてここからが「好意の気持ち悪さ」の理由として私が考えてみたものなのですが、心底憎んでいる相手から突然好意を向けられた時、うれしいとかラッキーとかより生存本能のが勝って全力でご機嫌取りに走る現象があります。たぶんゲイの人を気持ち悪くちやほやする女性の心の中では、DVのハネムーン期みたいなことが起こっているのではないでしょうか。「いつも私を好き放題サンドバッグにしている男性が突然殴らなくなった、次はもっと恐ろしいことが起こるかもしれない、全力で媚を売ってご機嫌をとらねば」というような。

 

そんなもんに巻き込まれるゲイの人はたまったもんじゃないですし、つきあってあげる義理もないですが、なんかそういう現象が起きているのではないかと思う。

 

 

 

 

あと

純粋に被害を訴えるツイートに対しても、

「男同士でなんとかすれば?」

「ほんとにあったの?(真偽はわからないけど)嘘っぽい」

「(本人ではなく男性の)日頃の行いが悪い」

「たまたまその相手が悪かっただけで問題にすることじゃない」

 

 女性は男性の被害者に対して上記のようなことを言う、という点について。

確かに男女とか関わらずデリカシーのない人はいるのでそういうことを言う女性もいるだろうけど、もしかしたら誤読している場合も多いのではないかと思ったので次回考えてみたい。

たとえば私は今回「女性は男性をがっつり嫌っている」ということを書いたのですが、それを読んで「ほらやっぱり女性は男性全般を責めているんだ」「善良な男性もいっしょくたに加害者だと思っている」「女性の問題は男性が解決しろ、男性の問題は男性だけで解決しろと言っている」だとかと解釈する人が、もしかしたら悪意とかではなく単純に読解力や知識の問題で存在するのかもしれない。そういう、個人と構造を分けて考えられない人たちにとってフェミニズムリベラリズムは確かに「女性は男性が救え、でもKKOは一人でのたれ死ね」に聞こえるのかもしれない。