雑記帳

リベラルでもフェミでもないただの愚痴

某事件と日常の中でのマインドコントロールの発動

 

 

北のほうの九州的なところで起こったらしい監禁とか殺人とかの事件(検索除けあいまい表現だけど最近のgoogle先生にこんなの通用するんだろうか)のwikiを読んでしまいました。だって殺害矢印が入り乱れている意味不明の家系図なんて普通にコラだと思うじゃん…まさかガチとは思わないじゃん……

 

それで、いや醤油だって1ℓ飲んだら致死量なわけで、一滴の醤油と1ℓ一気飲みの醤油の成分が同じものだというのは意味のないことだと思うのです。だからあの事件について私が抱いた感想も多分意味のないことだろうしいろいろな方面に配慮が足りないかもしれないのでおおっぴらに言えないけど、すごく思ったことがあるので書きます。王様の耳はロバの耳。

 

私は非合法に人を殺したことは一応無い*1し、もちろん殺されたこともない*2し、死体を粉々にして証拠隠滅したこともない*3し、高圧電流を流したり流されたりしたこともないし、例の事件の人たちに比べたらほとんど何も無かったと言っていいような生活をしてきたのですが、こんなことを言うと怒られてしまうかもしれないけど、ああいう異常な関係が発生してしまう過程はもしかしたら私も知っているかもしれない。

ほんと各方面にごめんなさいなのだけど、私はあのwikiを見てある種のカタルシスを感じてしまったのだと思う。やっと私の経験に共感してくれる人が現れたという安堵感。これまでいろいろな人といろいろな話をしてきたし最近はDVとか虐待とか共依存とか毒親とかいろいろ認知されてきて、それぞれ名前のない苦しみを抱えてきた人たちが望むレッテルを手にしていくのを横目に私の孤独はずっと名づけられないままで、こんな形で突然共感できる情報が現れてどう対処していいか分からない。

「わっかるー」とか「あるあるw」とか「せやな」とか言いたいけどたぶん私はなにも分かってないし共有もしてないのだと思うのです。仮になにか分かっていたとしてもそれを共有することで誰かが救われることもない。なのに私は私を救うためだけに「わかる」を押し付けてしまいたい衝動に駆られます。たぶん私に「わかる」を押し付けてきた多くの人たちもこういう気持ちだったのだろうと思うとああなんて醜悪な。この程度の気持ちよさのためにあれだけのものを押し付けられてきたのでしょうか私は。そしてまた私も押し付けてしまうのでしょうか。

 

 

 

だって、普通の虐待ってたいてい家族単位じゃないですか。両親や兄弟とか祖父母どまり。それに警察沙汰になるようなよっぽど深刻なものでない限りせいぜい暴言とか暴力とかのストレートなものばかり。逆に警察沙汰になるようなものだと命の危機があるほどひどい暴力が多い。

そうなると私みたいにムラ単位で蔵に閉じ込められて畏怖されながら同時に身体的性的暴行もあったというまるで横溝正史の小説みたいな奴はやっぱり意味不明で、そこまで大規模に監禁されてて警察や福祉に踏み込まれなかったのかとか、監禁といってもちょっと戸口に鍵がかかってる程度で実は結構自由に出入りしているのになんで逃げなかったのかとか、親戚一同巻き込んだ監禁暴行でなぜ誰一人告発しなかったのかとか、自分でもなかなかうまく説明できない部分が多いです。

監禁後期には普通に一人で近所のコンビニとか行ってたし通学も結構してたんだけど、それでも監視があって逃げられないし逃がされない状況というのがなかなか分かりにくいみたいですね。

 

あと構成員全員がお互いを憎んでいると思わされていたというのがめちゃくちゃわかる。わかりみしかない。

閉じ込められていた私の世話係だった人とは今でも少し親交があるのですが、彼と私が互いの気持ちに気づくまでに30年かかりました。私は彼の幸福と安全を願っていたと同時に彼が私のことを憎んでいると思っていたし、彼は私に罪悪感を感じ監禁が私の希望であると思いそれを叶え贖罪のために10年以上私に仕えました。10年間、私が産まれてからずっとほとんど一日中同じ部屋で過ごしたにも関わらず、私たちは互いに深く愛し同時に殺したいほど憎まれていることを享受していた。

なんですかねこれは京極堂の出番ですかね。こんな認知の歪みが日常に存在しうるってなんかすごくないですか。やべー。

冷静になってみれば彼と私は性格も真逆でこんなことでもなければ互いに興味を持たずにスルーしてたような仲なのに0歳の女児と20代の青年がサイコ系小説みたいな愛憎劇をくりひろげちゃったわけです。きもちわる!やだもー私男なんて興味ないのに。。いや彼とも恋愛的な感情は無かったわけですがよく分からない理由でセックス強要はされたことある。女児とセックスされられた彼も相当災難だったと思う。男のちんこは案外繊細だし狭い穴にぶち込むと流血することもあるんやで…

 

たぶん、互いが互いに愛情と罪悪感を持ち、相手から憎まれていると思っているにも関わらず尽くそうとするという認知の歪みがあの場で一番強力な呪いだったのかもしれないと思います。その他の、わけのわからない儀式や雑音や相互監視で思考力を鈍らせるというのはあの場から離れれば解消するわけですが、関係性の呪いは人間に標準搭載の信頼感を破壊することでしか脱却しえなかったので。

 

 

 

不思議なんだけど、あの事件の関係者の人ってなんであんなに理路整然と証言できるんだろう。事件に巻き込まれる前の自分の感情とかなんで覚えていられるんだろう。どうやって殺したのかとかなぜ殺したのか、誰のどの言葉でどこまで追い詰められたのか、なんであんなに言葉にできるの。細かい部分は偽りの記憶なのかもしれないけど、それにしたって確固たる偽りの記憶を持てるのはすごいことだ。

やっぱ事件に巻き込まれる以前は正常な生活をしていたというのが大きいのかな。正常な人格を育成できた人はあれだけの事件に巻き込まれても自我が崩れないのかもしれない。逆に正常な人格だったからこそ抜け出せなかったというのもあるだろうけど。正常な幼少期を過ごした人にとって時間や空間はどのように認識されているのかいまだに私にはよく分からない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1:少なくとも本人の意志の確認も無しに健康な人を殺したことはないです

*2:殺されかけたことはある

*3:フレッシュな血まみれ惨殺死体は見たことあるけどその後死体がどうなったんだかは知らないです