雑記帳

リベラルでもフェミでもないただの愚痴

10年前に親に黙って入籍しました

ご両親に黙って入籍したら修羅場になったよみたいな記事がいろいろ言われてて思ったこと。

 

一方の情報だけでどっちが悪いとか正しいとか決められないというのは当然です。それ以前にたかがブログ記事を読んだだけの通りすがりが筆者の人生に何かしらに介入をするなど不可能で、他人にできることなんてワイドショーを消費するように適当な戯言を垂れ流すだけです。なので私も戯言を垂れ流します。

元記事はこちらです

shinnotsuma.hatenablog.com

 

他の記事を拝見すると、結婚後はご両親と少し距離を置いて関係を少しずつ再構築されているご様子で、他人事ながらほっとしました。よかったまだ引き返せる距離感で…

で、両親の献身を裏切って奔走する子の行動をいさめたい人って何考えてるんですかね。身勝手な子をたしなめ努力する親への援護射撃のつもりですか?この子は私が管理監視しなければと脅迫的に思っている親元に子を返すのは親をさらに追い詰める行為になるわけですが。そういう親至上主義が虐待を生むわけですが、結局面倒事は親にすべて押し付けて一家心中すればいいゴミ社会に出てくんなということですかそうですか。

親がかわいそうというなら必死で育てた子に一生寄生されて一人じゃなにもできない無能な子を残して先立つほうがよっぽどかわいそうじゃないですか。 

 

娘が突然わけのわからない男を連れてきたら動転して娘を罵るのが親の愛みたいな発想も、なにそれこわい。大事な娘をたぶらかしやがってこのやろう不幸にしたら承知しないぞと男に八つ当たりするならわかるけども、とっさに娘disになるってやっぱ親もいろいろ大変そうだと思うけど。

 

どうせすぐに離婚するだろうから子が悪いというロジックも、なんなんですか。

過保護な両親に選択肢すべてを奪われて生きてきた子が初めて行った選択で完璧に成功しないと親が全面的に正しいことになると言ってるわけですがそのあたりほんとに分かって言ってます?そういう人は自分の足で立ちあがった瞬間から一度たりとも転ばず成長してきたんですかね?

 

 

 

 

さて、ここから先は元記事の方とは無関係の私の話です。

要約すると、頭のおかしい私を必死で養育してくれた両親への恩を仇で返し、実家を逃げ出して住所不定無職期間を経て勝手に結婚して家を出た話になります。 

 

私の経験を元に発言しますと、現代日本の戸籍制度では血縁から逃げるためには結婚するしかないという状況が実は結構起こりえます。

結婚や行動の自由が定められている憲法はめちゃくちゃ頼もしく輝く瞬間です。憲法マジイケメン。憲法さんカッケー。憲法なんていう本来国家のあり方を縛るお題目を一市民が実感できる希少な機会です。まじで。いや普通に考えて異性との結婚でしか逃げられないのはおかしいのですが少なくとも一つだけでも逃げられる手段があるというのはありがたいことです。

じゃあ養子縁組や分籍でもいいじゃんと思われるかもしれませんが、それだと『戸籍を出た』ことにならないんです。これは婚姻制度に対する古い考え方と先進的な戦後民法のギャップを利用したハックなので。

 

詳しくはライフハックブログでも参照してほしいのですが、扶養とか保険とかって家父長制になっていて、扶養されている子は親の許しが無いと通院もできないし福祉を受けることもできません。マトモな関係しかご存じない方であれば「扶養されているのだから文句いうな恩を感じろ話し合え」と思われるかもしれませんが、そういう良識が通用しない状況というのがこの世にあってだな。

なまじ親に社会的地位があると子が福祉に相談しても親に頼れとしか言われません。じゃあ分籍しても養子縁組をしても、そこまで勝手にやってしまうイタい子扱いされるだけです。でも結婚となると脳みそが戦前で止まっているジジイやババアでも、もはや子が親の所有物ではないということを理解できます。

 

もうちょっと具体的な例を上げますと、私が偽装結婚を決意したのは措置入院のためです。

精神を病んで措置入院をしたときに、養子縁組や分籍だと戸籍上の親が保護者として扱われてしまうことがままあります。『キチガイ』である当事者がいくら親に連絡しないでくれと言っても誰も聞いてくれません。結果として両親の後見を条件に退院させられて座敷牢に閉じ込められることになります。精神が弱った状態で自宅に監禁されて毎日ずっっっと「お前が悪い」「お前のせいだ」「お前のためを思って」と吹き込まれたまに訪れる福祉の人には「立派なご両親に感謝しなければ」と言われ私の訴えは妄想とされ朦朧とするまでドラックカクテルを処方される。

思考が鈍って身を守れない状態で思考に侵入されるというのは、体でたとえれば全身麻酔で指一本動かせない状態でサンドバックにされるという状態です。かなりガチな生命の危機を感じます。そして濁った思考では感じた危機を正しく処理できず即物的な行動でしか身を守れない。気づいたら血まみれとかわりとよくありました。私は追い詰められると自殺に向くタイプでしたが他害に向くタイプだったら人を殺していたと思う。もし私が殺人をして刑事事件になっても両親が私を追い詰めたことは可視化されず「立派な両親を殺したキチガイの娘」になるでしょう。

 

いやね、私の頭がおかしいことも、私が現実を正しく認識できないことも、確かに本当なのですよ。実際入院するほど病んでるわけですし。だから両親や福祉の人の言うこともそれはそれで一面の真実ではありましょう。

だから問題はどちらが正しいかではなくてどうすれば全体の幸福が増えるか、です。

両親は私のことが心配でしょうがない。では私は両親の求める正しい人生を生きることが正解なのでしょうか。それは両親は幸福かもしれないけど私は不幸です。だったら両親は両親で楽しくやってもらって私は私で別の場所で楽しくやればどちらも幸福です。

別に正しくなくてもいーじゃないですか。結婚しても離婚してもいい。熟慮せずに軽はずみに行動して後悔したっていい。必要なのは正しさではなくてセーフティネットです。

 

ちょっと話が逸れましたがまとめますと、親の戸籍に入ったままだと自動的に親が保護者とみなされてお互い不幸です。でも結婚していると配偶者が第一選択となります。これ超便利。私が倒れても死んでも親が呼ばれない、私に関する決定に親が口を出す権限を失うという安心感が半端無い。

そして配偶者は所詮他人扱いです。世間様は親という生物に過剰な期待をしますが、配偶者に関しては警戒します。配偶者からの精神的肉体的支配はわりと多くの人が理解して手を差し伸べてくれる。私がつらいと言ったらそれを妄想と決めつけずつらさを減らす方法を考えてくれる。

 

ということで、もう10年くらい前に親に黙って入籍しました。

入籍のなにがいいってね、もう住所不定の逃亡生活をしなくてもいいところですよ!

親は子の戸籍を勝手に見る権限があるので、戸籍の住所に住んでると連れ戻しに来ます。家の前で待ち伏せたり車に連れ込もうとしたりピッキングで勝手に鍵をあけて部屋に上がり込んだりしてきます。他人だったらストーカー扱いされる異常な行動も、社会的地位のある親と精神障害のある娘というメガネを通してみればキチガイの娘を案ずる良い親の行動として処理される地獄みのある世の中です。

 でも結婚すると、どういうわけだかこれまで「キチガイ娘と献身的な親」だったのが「苦労する嫁と古い親」になって警察やら福祉やらがめっちゃ守ってくれる。なにこの格差はよ。

 

ただ配偶者をまるっと信頼するのはちょっと心配なのでお互い戸籍を汚したい者同士で偽装結婚がオススメです。できれば性志向が重ならない相手を選ぶと間違っても恋愛関係になってこじれたりしないのでさらによい。

ベストとしては結婚なんかしなくても自由になれることですけども、そうなれない現状がある以上結婚は優秀なライフハックです。