LOFTのバレンタイン広告が批判されているようです。
一見仲良しに見える女の子たちが実は互いにマウンティングしかしていなくて裏側では背中をつねったり髪を引っ張ったりと暴力をふるいあっている、そんな女の子たちにロフトのチョコレート。
いやそれ誰が買うの…
この広告を踏まえてロフトのチョコを買うということは「私は裏で陰湿にいじめあって人の悪口ばっか考えてるんですよ」と言っているようなものなので、私は今後ロフトのチョコを貰ったらドン引きするし相手と距離を置くよ。誰が得するのこの広告。
女性役割を押し付ける広告はたびたび炎上していますが、たとえばパンパースのワンオペ育児CMなんかは一応「そんな理不尽な状況でがんばっている女性にエール」というメッセージは少なくともあって、そもそもそんな状況を容認するほうがおかしいという指摘でした。最低限リスペクトはあった。そんなリスペクトはいらんが。
でもキリンの女性図鑑だとか今回のロフトの女子間のイジメだとかはリスペクトすらありません。
こちらの方は広告や表現には毒があってもいい、きれいごとばかりでは響かないと主張されています。たしかに表現には毒があってもいい、むしろあったほうがいい。だけどその毒はただけなして見下して窮屈にするものであったらそれは統制であって表現ではありません。
このロフトの広告を男性でたとえるのであれば、
外ヅラはイケメンだけど裏ではパワハラや痴漢や性犯罪をやっているぜ☆そんなアナタはロフトのチョコ♪男の子ってそういう生き物だよね!
とか言われて、よっしゃ俺もチョコ買お!となるか?という話です。普通だったらそんな男性像と一緒にしないでほしいしロフトに行かなくなりませんか。
上に上げたブログにあったんですが、たとえばこんなのどうですか。
男ってナヨナヨして知能も筋力も足りなくて体売って女にかしづくしか能がない生き物よね!という風刺なんですが、それみて男性はどう思いますか。よっしゃこんな男性になりたいからネトフリ契約しよ!て思いますか?
『毒のある表現』の具体例が挙げられていないので分かりませんが、男性向けのCMでこれほどまでに馬鹿にして見下したものを私は知りません。せいぜい24時間戦えますか程度じゃないですか?あれだって24時間戦えるあなたはカッコイイという価値観でした。背中をつねったり髪を引っ張ったりしていじめあう女性はカッコイイとでも?どうせ女なんてそんなもんでしょ、を私たちはにっこり笑って受け入れてあげなくてはいけないのでしょうか。いったいいつまで?
あと一つ可能性として、こちらのブログの作者さんの中では「女の子は仲良く楽しく」がステロタイプで「女の子はお互い足を引っ張り合う」がアナーキーな表現となっているのではないか?と思いました。別にどちらが正しいというわけではないのですが、わりと多くの女性は女性は陰湿だとか陰でいじめあうだとかいう無責任な言説にうんざりしています。その立場に立つと、女の子はお互い足を引っ張り合うというのが保守で、女の子が普通に仲良く楽しくキャッキャウフフしている表現こそがカウンターであり芸術でありパッションであり『毒』です。
だからこういうの↓は当時かなりアナーキーな表現でした。
お互いを尊重して健全にライバルしたり友情や恋愛が芽生えたり、というのは週刊少年ジャンプなら腐るほどあるかもしれませんが女性主人公では現在でもまだ希少です。最近のポケモン映画ですらそんな女性像が描かれています。女子はどうせ男の取り合いして醜く足を引っ張り合っているんでしょ?というのが女性にとってのスタンダードな現状では例のCMは陳腐でしかない。
とりあえずみんなロケットガール読もう。
毒をばらまくのは公害であり犯罪です。毒でしか打破できない強固な規範に対して適度な毒を撒くのは正当防衛として許される場合も無くはない、その二つを混同しないようにしたいものです。