またいつもの「非モテに女をあてがえ」かと思って読んだら微妙に違ったので。
たしかに増田は女をあてがえとは言っていない。けれどセックスできないのにセックスを求めてセックスさえすれば孤独が癒されると思い込んで俺が俺が愛して愛してと迫る限りそれは女をあてがえと同義でしかない。
この増田は「俺はクサくてキモくて不快だけど、そういうの気にしない人と関係を作りたい。なお相手がクサくてキモくて不快でも全く構わない」と言っているだけなので、この増田単体に対しては、クサくてもキモくても汚くても常識がなくても病んでても池沼でも別に気にしないってクラスタは一定数いるからそういう人を探しに行けば解決じゃね、としか思わない。とりあえず西成あたりに引っ越せ。いかれた人がいっぱいいて居心地いいぞ。大丈夫そんな怖いとこじゃないから。一億総無菌化が進んでいる現代社会にも実はそこかしこにエアポケットのように混沌が存在するからそういう居場所を見つけられるといいね。
ただそういう社会規範から脱落しがちなタイプに対する支援というのは現状皆無で、たとえば役場に行ったら支援を受けられる代償としてクサさやキモさを改善することを迫られる。それが耐えられないというのは私もよく分かる。医療や福祉の想定する「よき患者」「よき被害者」みたいなのから外れる人をありのまま尊重することが現状では全くできていない。
そも、増田は何を求めているのか。ただちんこをまんこに挿入できれば満たされるのか。だったらオナホでいいじゃん。
セックスそれ自体じゃない、セックスできる人間関係が、恋愛関係が欲しいんだ！ 孤独から救われたい！ だから性風俗でのセックスは解決にならない！ まあセックスもしたいが！
孤独への救済がないことが、ぼくの/男の/童貞の/人間の生きづらさの核心だろ。その寂しさは、孤独を馬鹿にされなくなったからって楽になるもんじゃない。
当然これはオナホで解決する問題ではなくて、増田が手に入れたいのはセックスではなくて信頼できる人間関係なわけなのです。
じゃあセックスいらないよね？
なぜ増田は「35歳『孤独』ひきこもり精神障害二級男性」ではなくて「35歳『童貞』ひきこもり精神障害二級男性」なの？『童貞』がコンプレックスなのだとしたらそれこそオナホで解決してるよね？なんでまだ悩んでんの？？？
会社の関係は仕事を辞めたら終わりだし、普通の友達関係は転勤したとかケンカしたとかいうちょっとしたことで関係が終わる不安定なものです。病めるときも健やかなるときも途切れない関係は現状では家族、つまりセックスによる結びつきの中にしか存在しない。というのが現状です。
だからこそ童貞はセックスすることをゴールにせざるを得ない。
セックスと人間関係をイコールで結んでしまっているのは童貞ではなくて社会全体で、その恩恵を湯水のごとく受けているセックス強者は社会がセックスに求めるものの重要さを自覚しない。だから「童貞は童貞のままで生きていけばいいじゃん☆」とか言えるけど、それは童貞にとっては「君は一生誰とも会わずに独房で過ごしてね☆」と同じ意味になってしまう。
たぶんこの増田とか、それとか非モテに女をあてがえとか言ってたり女だけの街に吹き上がったりするタイプの男性とか、本当に求めているのはセックス＝オナホではなくて、なぜたかだかセックス＝オナホが手に入らない程度でここまでこじらせてしまうのかを考えること、つまり男性にとって信頼できる人間関係がセックス＝オナホとセットでしか手に入らないからで、彼らが本当に欲しいのは信頼できる人間関係よな。
私はよく知らないのですが、たぶん男性は幼少期から徹底的に人間関係を取り上げられ渇望し続け、その渇望はセックス＝オナホでしか手に入らないと叩き込まれるんじゃないでしょうか。よく知らないけど。たぶん頭の固い大人になってしまった男性たちを救済するのは難しくて、まだまっさらな子供達の教育を変えていく方がいいんじゃないかと思う。まぁ美しい国とか言って性教育すら無くした現政権では絶望的ですが。
というところをもうちょっと言語化していくと男さんサイドもいろいろと捗るのではないでしょうか。まぁそんなの人類が100年前に答えを出してるんですが、それを当事者の言葉で発信してゆくというプロセスを経るのは大事だと思うよ。
