味覚過敏だからマックのハンバーガーしか食べれません、慣れた味しか受け付けません、という類の人を見ると腹が立って仕方なかった。だって、味覚が過敏なくせに味覚の暴力みたいなマックのハンバーガーは平気で食べれるとか意味が分からない。
と、思う私は味覚『過敏=恣意的な情報を過大に受取ること』ではなくて『敏感=多様な情報を受信し分析できること』で、過敏と敏感は別のものなのだという納得のしかたをしていた。
でさらに最近、過敏と敏感は断絶したものではなくて、もしかしたら『過敏』というのは『未熟な敏感さ』なのではないかと思うようになった。
この間「チョコレートとキャラメルが苦手です」という若い女の子に会った。彼女は食べ方とか味覚とかがとても貧しい感じで、いや別に貧乏くさいとかではなく食の楽しみ方が分かってないっていうか、とりあえずアミノ酸と塩分こんもりならウマいと思ってるような感じ。
たぶん彼女は農園によってカカオの味が違うことを知らないだろうし、キャラメルはミルクと砂糖の風味を味わうものだということも知らない。
彼女がチョコレートという言葉で表現してるのはスニッカーズみたいな脳みそば馬鹿になりそうなくらい甘さで、キャラメルという言葉で表現してるのはヌガーみたいな人生どうでもよくなるような甘さなんだろうなと思った。そりゃチョコもキャラメルも嫌いになるわ。
スニッカーズやヌガーみたいなアメリカンな味覚の暴力は音楽でたとえるとデスメタルみたいなもんで、たまに自主的に聞く分にはおもしろいけど四六時中デスメタルがかかってたらそりゃ嫌いにもなる。
いやちょっと話しただけだから本当のところどうなんだかわかんないんだけど!
なんかもう、小樽につれてってフェアトレードチョコレートで作ったケーキと北海道の本気ミルクキャラメルをご馳走してあげたい。味覚ってのは砂糖と油分と人工香料で塗りつぶされるもんじゃないんだよと教えてあげたい。
でもいきなりチョコとキャラメルだと引かれるだろうし、ていうかそもそもよくわからん取引先のババアにおごられるとかストレスでしかないだろうから、とりあえず次回の打ち合わせではおいしいパン屋に連れていって小麦粉の甘みから教えてあげたい。それくらいならキモくないよね……